編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

総選挙のとばっちり

 突然の衆議院解散・総選挙が、まさか自分に影響してくるとは思わなかった。実は10月20日に東京・板橋区でジャーナリストの青木理さんと対談をすることになっていた。「高島平ドキュメンタリー映画を見る会」の山名泉さんらが、半年以上前から準備していたイベントだ。50回目という節目でもあることや青木さんを招くことで、会のみなさんも力を入れて準備を重ねていた。ところが、9月下旬、山名さんたちは区から突然「場所を貸せなくなった」と告げられた。予約していた場所は区の公民館だが、そこを期日前投票の会場にするからというのが理由。山名さんらは代替会場を探したが、300人規模の場所が簡単に見つかるわけではない。仕方なく延期を決めた。ひどい話だ。そもそもこんなに急いで選挙をやらねばならない理由がどこにあったのか。

 在日コリアンの私には選挙権がない。だからこそ、日本のみなさんに託したい。2日後の選挙結果は、日本に定住する外国人のくらしにも関わってくるのだから。(文聖姫)

ピロリ菌撃退

 6月28日号の本欄で、胃カメラ検査でヘリコバクター・ピロリ菌が見つかり、除菌したことを書いた。繰り返しになるが、除菌方法は簡単。処方された薬を1週間飲み続ければいい。ただ、その間はお酒が飲めない。“呑兵衛”の私にとっては、これが一番大変だった。多くの人が1回の治療で除菌できるようだが、まれに失敗する人もいるらしい。私の周辺でも3回目でやっと成功した人がいた。

 10月4日、検査に行った。見事除菌に成功! これで胃がんになるリスクも低下する。だが、もらった紙には「ゼロになるというわけではありません」と書かれていた。医者には、今後年に1回程度の胃カメラ検査を受けるように言われた。胃粘膜の炎症が除菌によって軽減することにより、除菌前には見えなかった病変が発見されることもあるとのこと。胃カメラは苦しいが、ほんの数分で終わる。それで病気を事前に防げるとしたら、少しの苦しみは耐えられる。それにしても、「禁酒1週間」を再びやらずに済んでよかった(笑)。(文聖姫)

どうして解散・総選挙?

 10月9日、衆議院が解散した。総選挙は27日だ。石破茂首相は、当初の方針を覆し、早期の解散・総選挙に踏み切った。野党とじっくり国会論戦を繰り広げることを避けた形だ。自民党の顔が変わり支持率が上がっている間に総選挙に打って出て、自公政権継続を目論んでいるのだろうか。だが、『毎日新聞』と社会調査研究センターが3日に実施した世論調査で、内閣支持率は46%と、半数を下回った。発足当初はある程度高い支持率が出るはずだ。やはり、総選挙をめぐる石破首相の「ブレぶり」や統一教会問題にきちんと対応していないことへの世論の批判とみてよいのではないか。それを意識してか、石破首相は6日、「相当程度の非公認が生じる」と述べた。

 石破内閣に女性が2人しか入閣しなかったことも問題だ。第2次岸田文雄第2次改造内閣では、5人が女性だった。世界の流れからみても、増えこそすれ、減るとは……。永田町の「マッチョ政治」を破るのは至難の業なのだろうか?(文聖姫)

社長就任のご挨拶

 9月24日、株式会社金曜日の株主総会が開催され、新しい取締役会が発足しました。その後の第1回取締役会で、私、文聖姫が社長兼発行人に選出されました。私の編集長任期は今年11月1日までですので、約1カ月間は社長兼発行人兼編集長を務めることになります。

 3年前、初めて導入された編集長公選制に基づく社内選挙で、私は編集長に選ばれました。至らない点も多々ありましたが、読者のみなさまの温かい支えとスタッフの協力のおかげで、なんとかここまでやってこられました。感謝の気持ちでいっぱいです。次期編集長を選ぶ選挙も遠からず実施され、11月には新しい編集部体制が発足します。その報告は改めてさせていただきます。

 私は編集長として各地の読者会にお邪魔するなど、読者との交流も深めてきました。社長としても、読者のみなさまとの交流を引き続き深めていきたいです。これからもよろしくお願いいたします。社長就任の正式なご挨拶は、来週号に掲載します。(文聖姫)