編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

米国の真の狙いは、「辺野古沖基地」ではなく「基地プラス“カネ”」だ

 オバマ大統領の「目」になって世界地図を見る。

「日本列島は、対中国、対ロシア、対北朝鮮の防波堤として理想的な弧を描いているな」
 
 次に「心」になって世界を考える。

「中国、ロシアと核戦争になる事態はありえない。『核戦略体制の見直し(NPR)』で強調したように、核保有の根本的な目的は核攻撃抑止だ。北朝鮮の軍事力もとるに足らない。韓国への軍事戦略は考えられない。挑発的発言もブラフだろう。であるなら、日本を浮沈空母にしておくだけではもったいない」

 再び「目」に映った日本列島。

「我が国の世界戦略に必要なカネを生み出す、打ち出の小槌に見えるなあ」

 日本国内の米軍基地が米国にとって極めて貴重であるのは間違いない。だが、かつてより重要度は下がっているはずだ。稲嶺進・名護市長が主張している通り、普天間基地の機能も必須ではなくなっている。本誌で何度か記事にしたが、米国にとってはグアムが最も枢要な戦略的基地である。
 
 そもそも普天間基地については、米国内でも「民家の密集地であり危険」という指摘がされている。また、あくまでも辺野古沖基地にこだわる合理的な理由も見あたらない。とどのつまり、米国は普天間移転を日本に高く売るため、あの手この手で攻めているようにしか見えないのだ。
 
 となれば、ギリギリのところで「妥協」も考えられる。ただし、相応の見返りがあればの話だ。それは例えば「辺野古沖以外での新基地建設プラス“カネ”」である。すでに日本は米国債を70兆円も買わされている。中国とともに、世界で一番「米国経済を支えている」国が日本だ。でも、まだまだ搾り取れるということだろう。
 
 小泉純一郎政権時代は、「年次改革要望書」に書き込めば、なんでも「はいはい」で終わった。さすがに政権交代後はそうもいかず、米国は別の脅しに出ているのだ。こんな「ならず者国家」に膝を屈する必要はない。わかっていますか鳩山さん。(北村肇)