地震発生から一週間
2011年3月25日9:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
地震発生から一週間たち、首都圏のメディアは喪が明けたかのように振る舞い始めた。NHKは福島第一原発の生中継を激減させ、民放ではお笑い番組がおそるおそる流されている。頼りになる情報源は、メーリングリスト、ツイッター、動画生中継などネットになっている。
日本を立ち直らせるには、これまで通りの暮らし(消費行動)をすることが大事だという声も強まっている。一見もっとも。しかし、これまで通りでいいはずがない。津波という天災はともかく、原発の恐怖は、今までの無自覚な日常生活の象徴なのだから。福島第一原発三号炉にはプルトニウムを材料にするMOX燃料が混ざっていた。これは環境面ではもちろん経済的にも保有する理由が皆無の、つまるところ政治的な産物なのである。過去をひもとけば自然を制御しようと夢想するこの手の錬金術は代償が大きかったはずではないか。これほどの被害を受けた今こそ自然や人と共に生きる思想の政策を本気で実現しなければならない。次はない。(平井康嗣)