日曜日の午後、ようやく第五福竜丸展示館を訪れることができた。
2011年4月22日9:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
日曜日の午後、ようやく第五福竜丸展示館を訪れることができた。東京には夢の島公園という場所があり、今熱帯植物館やヨットが駐留するマリーナなどがある。ここは巨大なゴミ捨て場だった。つけられた名前が夢の島だというのだから、日本人は表現の自由を多いに満喫している。公園はずれの森には隠れるように黒い建物がたたずんでいる。中には一九五四年三月一日に、太平洋のビキニ環礁で米国の水爆ブラボーの実験によって、放射能汚染された珊瑚の粉=死の灰を浴びた木造マグロ漁船第五福竜丸が展示されている。マグロを供養する石塚も、展示館の脇に設置されている。マグロから放射能が次々に検出されて四五七トンが廃棄、築地市場の地中にも埋められたことの慰霊だ。この年にはスクリーンに水爆怪獣ゴジラが生まれ、衆議院では原発の研究予算が初めて通過、原子力の獣道を日本は歩み始めた。映画『わが友原子力』を制作したウォルト・ディズニーの遊園地からも電車で七分。連休にでも立ち寄られてはいかが。 (平井康嗣)