二〇一二年四月
2012年4月20日9:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
二〇一二年四月。
今この時期にも福島で暮らし続けている人たちは、移転をしようと思ってもそれが困難である人たちが少なくないようだ。
持ち家、子どもの転校、移転先の就職口など、さまざまな理由で引っ越せず、あきらめた人が今も悩み続けている。
低線量被曝を懸念する人たちは、どうにかこの人たちを避難させたいと考えている。
しかしその一方で、このような移住の相談を受けているボランティアたちも悩んでいる。
他者の人生を変えるようなことに口出しをしていいのかと。
移住の次善策が一時保養、短期休養だ。
一九八六年のチェルノブイリ原発事故後、日本各地でもサマーキャンプが実施された。
今は甲府で暮らす福島出身のOさんは北海道に一時避難していた。
そのときの受け入れ先が、今でもサマーキャンプを続けている女性だったという。
やはり一カ月ほど北海道にいると、受け入れた女性の体調がみるみるよくなるそうだ。
今、Oさんは移住相談の活動をしている。
原発事故の教訓は静かに引き継がれている。
(平井康嗣)