編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

 日本の政治情勢がつねに不安定なのは、近隣に二つの国家ではない「国家」があるからだ

 日本の政治情勢がつねに不安定なのは、近隣に二つの国家ではない「国家」があるからだ。
 この問題が、米軍基地、原発に核、TPPとすべての問題に影を落とす。

 日本は日韓基本条約で朝鮮半島唯一の国家として韓国しか認めてない。
 だから、この条約を修正しない限り、朝鮮を国家として承認できない。
 承認するためには停戦中の朝鮮戦争を終結させなければならないだろう。
 この外交の大前提を識者や報道が無視し続けていることは異常である。

 人口約二四〇五万人の朝鮮と同じように人口約二三二二万人の台湾も日本にとって合法政府ではない。
 外務省によれば朝鮮が外交関係を持つ国が一六二カ国だが、台湾が二三カ国だけである。
 今は一九七二年の日中共同声明によって「非政府間の実務的な関係」が灰色に維持されている。

 いくら国境が引かれ、市町村が再編されようとも慣習的に積み上げられてきた生活空間に、おいそれとは勝てるものではないのだろう。
 私も振り回されずに国を超えた友人関係を大切にしたい。

(平井康嗣)