編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

この国は、ここで暮らす人びとにどのようなメッセージを発信しているのか

 この国は、ここで暮らす人びとにどのようなメッセージを発信しているのか。
「すべての情報は命令だ」と指摘した哲学者もいるが、日本の集団が発する情報は内面には不寛容な命令を孕み、わたしは居心地を悪くしている。

「安心・安全」な地域社会をと言うほど、日本は不安で危険だと脅迫してくる。
 朝鮮人学校に補助金を拠出しないこと。
 それは、勉強しなくてもいい子どももいるという差別を認めろと言うこと。

 子ども手当をなくし、生活保護給付や医療費を削減して財政再建を言う政治家は「生きるな」というメッセージを正義面の裏から発している。
 胃ろう患者をエイリアン云々と言った石原伸晃氏は論外だ。
 翻って小沢一郎氏が一部で熱烈な人気を持っているのはなぜか。
 この殺伐とした政治情況において、国民に「生きるな」という態度は示さないからではないか。これは「生きろ」というメッセージにもなりうる。

 官邸前の大抗議に「無視」で臨む首相が放つメッセージは、俺のために犠牲になれ、だ。

(平井康嗣)