今週号は児童養護施設での子どもの虐待を扱った
2012年9月7日9:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
今週号は児童養護施設での子どもの虐待を扱った。家庭で虐待を受けた子どもが、逃れてきた先でまたも暴力を受ける。または暴力を受けている姿を見る。それは「絶望」である。しかしタブー視されるのか、あまり報じられてこなかったという。
表紙には特集企画と偶然時期の合った韓国映画『トガニ』の一場面を拝借させていただいた。貧しく、親もおらず、知的障がいや聴覚障がいを持っているという、行き場のない子どもの悲しい物語だ。実話を原作にしているため、大ヒットした韓国では国民を突き動かす事態になったという。圧倒的に弱い存在に人は残酷さや差別意識を剥き出しにできるし、闇に葬ることもできる。そんなことをする人間を何人か見たことはあるが、本当に許せないゲスである。
もちろん「施設」は基本的に救いの場だ。日本では最近『隣る人』(刀川和也監督)という長年「施設」を取材したドキュメンタリー映画も公開された。子どもが持つ愛らしさ、親の大切さが本当によく伝わってきた。 (平井康嗣)