編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

脱原発を争点に掲げるだけの選挙でいいのかという批判がある

 脱原発を争点に掲げるだけの選挙でいいのかという批判がある。しかし原発はそんなシングルイシューではない。郵政民営化選挙とは違う。脱原発は「原発的なもの」からの脱出なのである。
 今週号の金子論文や環境エネ研論文を読んでいただければ「原発的なもの」と「再生可能エネルギー的なもの」の違いがわかるはずだ。
 原発的なものとは一極に集中し巨大化させる設計思考だ。銀行を始めとする日本企業が典型で合併を繰り返し、大きすぎて潰せない経営へ逃走している。ユーロ圈や米国では今や規制緩和を反省し、銀行と証券の分離強化も検討している。リーマン・ショックの反省だ。一極集中はリスクを巨大化させ国家を巻き込み癒着を生む。日本の原発事故と電力独占を見ればよくわかる。
 一方再エネ的なものは小規模に分散しネットワークでつないでいく考えだ。柔軟な対応を生みリスクも軽減される。当事者の参加意識も高まる。硬直した政官業を変える発想なのだ。だから潰したい輩もいるのだろう。
(平井康嗣)