永六輔さんの「無名人語録」は市井のさまざまな声を拾って編集している。
2012年12月14日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
永六輔さんの「無名人語録」は市井のさまざまな声を拾って編集している。だ
から “正しい” 発言とは限らない。
一一月一六日号では「士農工商」や「新平民」など、身分制度と部落差別に関
する声を紹介した。永さんは水平社宣言を起草した西光万吉さんからも話を聞き、
差別と受け止めて闘ってきた人だ。だが、歴史的事実や認識とは異なる市井の声
は差別を助長し間違った歴史教育となりうる等の指摘を読者から受けた。要点は
今号に「論争」欄で説明されている。確かにこの主題に関して補足する「語録」
や注釈もつけずに掲載したことは誤った事実を拡散させる。理解と配慮に欠けた
点をお詫びいたします。最近の実証的研究によって被差別部落に関する誤解も次
第に明らかになっている。多くの人が教わった江戸期の「士農工商」というピラ
ミッド型身分制度を不正確とするのが今の歴史教科書だ。
歴史は国家や時の権力者が都合良く利用し修正してきた。表現の自由を利用さ
れないように、私も蕩尽しないよう気をつけたい。 (平井康嗣)