船田元・自民党憲法改正推進本部長代行が、改憲草案中の「公の秩序」や「公益」の意味について語っていた。
2013年5月10日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
朝のテレビ番組で、船田元・自民党憲法改正推進本部長代行が、改憲草案中の「公の秩序」や「公益」の意味について語っていた。たとえば、土地の所有者が抵抗して道路がつくれない場合には公の利益のため、土地という私有財産を簡単に没収できるようにしたいという話だった。
大部分が完成した東京外環道路も、地上げに難航し建設は大幅に遅れた(と政府は考えているだろう)。三〇年ほど前、私が小学生だった頃の千葉県市川市では学級全員の親が建設反対の署名をしていた。しかし今、地元での抵抗は少数だ。国の公共事業はそうして個人を克服してきた。
経済学者の岩井克人は資本主義経済では自由主義や個人主義よりも「私有財産制」が重要だと『資本主義から市民主義へ』で指摘していた。人はまず自分の体を所有していなければ自己決定ができない、始まらない、からだという。つまり、自民改憲案では(無自覚だろうが)、国民の体も公益のためには差し出させる企図も法体系に含んでしまったといえるのだ。 (平井康嗣)