編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

沖縄に関する報道は偏りがちだ

編集長後記

 年明けから選挙が相次ぐ。注目するものは1月19日に投開票がある沖縄県名護市長選だ。米軍普天間飛行場の移設先とされる辺野古が所在する街だ。新基地建設という見方もあるこの施設建設は「日米同盟」強化の踏み絵とも位置づけられており、中央政府は強権的に臨んできている。

 だが、沖縄に関する報道は偏りがちだ。地元紙は丹念に報道するし、社説も、これが真っ当な新聞だと支持する筋論が多い。しかし地元紙では報じづらい部分もある。そこで“よそ者”の東京なのだが、無関心な記者と沖縄に思い入れのある記者の両極端に割れ、後者は地元に寄り添い過ぎることが多い。

 本誌ではここに沖縄基地報道の壁があると感じ、市民にも知られていない基地とカネと人をめぐる事実を報じようとしてきている。 

 ただこの名護市の構図は、日本各地で似たようなものだ。地域には地域の政財官癒着集団が存在し、住民の無関心と無知こそが彼らを盤石なものにさせている。大文字の選挙ばかりに眼を奪われていてはいけないはずだ。(平井康嗣)