今週号から3回にわたり辺見庸さんと佐高信編集委員の対話を掲載する。
2014年4月11日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
今週号から3回にわたり辺見庸さんと佐高信編集委員の対話を掲載する。辺見さんが今の言論空間に憤っているということは対談する前から伺っていた。私も今の論壇は気持ちが悪い。それは率直ではない「売論家」が目立つからだ。その歯切れの悪さは人情や倫理からくるためらいとは別の性質のものだ。戦後民主主義的な「振り付け」が自壊していると考え、これからどう演じることが得か様子を窺っているように見える。
記事を何度か入れている慶應義塾大学の幼稚舎(付属小学校)は象徴的である。関係者からは、(その是非はともかく)福澤翁の精神よりもコネと見栄とカネの話ばかりだという嘆きを聞く。このような閉じた“エリート”空間への媚びは目に余る。
私はソクラテスが好きだ。誰かれとなく質問をして最後は死刑になったギリシャの哲学者だ。その生き方は到底真似できないが、彼の「無知の知」という言葉は噛みしめる。王様は裸だと言った少年はこの哲人をモチーフにしているのかもしれない。 (平井康嗣)