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安倍首相が北朝鮮(朝鮮)に対する経済制裁の一部解除を決めたと各紙大きく報じた。

編集長後記

 安倍首相が北朝鮮(朝鮮)に対する経済制裁の一部解除を決めたと各紙大きく報じた。日本国内では経済制裁によって、朝鮮本国がダメージを受けているという見立てが支配的だが、実際にそうなのか。

 先日、朝鮮研究者の勉強会に参加したところ、興味深い発表をいくつか聞いた。中韓接近の対抗策として日本政府は朝鮮に近づいているとも報じられるが、中朝関係は日朝よりも太く、すでに特区や合弁会社を一緒にやっている。イタリアやスイスの企業も合弁会社を設立しているという。日本政府が承認している国は194カ国、朝鮮は約160カ国と国交をもっている。日本人研究者が朝鮮経済を調査しに訪問したところ、ひさしぶりに日本の人が来たと言われて、朝鮮にとって日本は忘れかけられた存在になっていることを実感したそうだ。

 日本は日朝外交を安保や拉致だけで見がちだが、世界ではマイナーな視点であろう。結局、これまでの対話不在の強硬制裁で困ってしまったのは日本政府そのものなのではないだろうか。 (平井康嗣)