編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

8月に『朝日新聞』が取材に来た。

編集長後記

『週刊金曜日』が1000号までよく生き残っていると思ったのだろう。8月に『朝日新聞』が取材に来た。聞き上手なので、脱線して前職でのバイオレンスな日々を面白おかしく話していたら、「ひと欄にしましょう」と言われた。いったん12日掲載となったが、『朝日』の9・11記者会見の翌朝に当たったため、さすがに飛び、17日に掲載された。

さすが700万部? で、当日は私や営業に沢山の連絡をもらった。ただ読んだ人から「苦労人」と呼ばれることには違和感を抱く。「最初で最後の親孝行だ」と腹を決めて乗り込んだ船は想像以上の泥船だった。ぎりぎりのところで飛び降りて東京まで泳いで来たが、その切羽詰まった日々のほとんどが今では生々しくて、笑える。むしろ今よりも「労働」を実感していたともよく振り返る。

バブル後に倒産した経営者や職を失った人、今も厳しい現場の中で働き、これからも働き続ける人は大勢いる。彼らへの同情は時に失礼に当たる。自身の哲学において、明日、生き抜くことを共に考えたい。 (平井康嗣)