今週号は学者の金子勝さんの責任編集だ。
2014年12月12日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
今週号は学者の金子勝さんの責任編集だ。表紙に「カネコノミクス」とつけたのは、「アベノミクス」への『金曜日』からの皮肉である。金子さん、小誌のわがままにお付き合いいただきありがとうございました。これまでも金子さんは批判とともに対案を提示してきた。原発事故後は、小規模分散型ネットワークという概念だろう。それは経済だけでなく政治にもそのまま当てはまる考えだった。しかし、その後も日本社会は壊れ続けており、もう一度特集で事態を捉え直すことになった。
疑り深い首相の下、世の中にはますます猜疑心がはびこり、社会には疎外や差別が肯定されていくようだ。ピケティは国際的な累進課税という分配案を提示するが、これは安易な分配論に流れる懸念もある。労働者自らが価値を生み出す心得がなければ、労働は労働者同士のパイの奪い合いへとこじれる。敵の思うツボだ。「思考停止」は論外、「考えること」は大切だが、このような首相を戴くと、誤読や独善的な考えも支持率を上げる危険がある。 (平井康嗣)