編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

ブーイングを聞き取れないのか

 週末、小中学生のピアノ教室を見学した。演奏は楽譜通りの音で弾くことが基本だ。子どもたちも楽譜に向き合って何度も練習する。解釈の余地がある行間部分で個性を出すなど先の先である。
 コンピュータのプログラミングも1行でもコードを書き間違えれば動かない。それぞれの世界には絶対必要条件というものがある。
 と偉そうに書いたが、私はいずれも専門外である。さて法にも基本や大前提があるのだが、いまの立法府の住人たちは逸脱しすぎだ。むろん解釈の幅が大きいのは言葉の長所であり短所であるが、独善的な解釈や思い込みをして、自分が正しいと強弁するにも限度があるのも然りである。
 趣味のカラオケなら楽譜は読めなくてもいい。おっさんたちは気持ちよくがなりたて仲間内でほめあうのは自由だ。しかし現実政治で憲法や歴史を学ばないのは恥だ。すでに不誠実な演奏に大群衆がブーイングを出していることも聞きとれないのか。そのような歌手や指揮者にアンコールはかからない。