政治と全体主義
2016年2月12日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|admin
何日か前、テレビの情報番組で「腹立つニュースベストテン」のようなものを企画特集しており2位ぐらいが甘利前大臣辞任だった。ランキング発表後に街角インタビューで中年女性が「甘利さんTPPがんばっていたのにねえ」と半ば同情的に発言していた。いやいやいやちょっと待て。この人何を知っているんだ。私はなにも同情したことが駄目だと言いたいわけではない。そもそも甘利大臣がTPP交渉でがんばったって平気で受け売りを事実として言えて感情移入までしちゃう人々が恐ろしいのである。しかも「甘利TPPがんばってた」論は、推進側からのポジティブな評価にすぎない。(TPPについては今週号特集をお読みください)。おまけに「がんばってた」論の先には、「50万円ぐらいで辞任はしなくてもいいじゃん」論もある。良い生活という目的を掲げればどんな行為でも許されてしまう「政治」特有の危険さ。そしてそのような「政治」が全体主義に結びついていくと指摘したハンナ・アレントの思索を思い出した。