編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

働く意味

 電通社員の過労自殺が波紋を広げている。労務実態が核心だが、電通と言えばバブル期の「飲み」がゲスかった。連夜の接待で気絶、ノリでモデルを脱がせる、莫大な借金をつくる――。社員にとってはネタや武勇伝だろうが、結局上場後も驕ったマッチョ体質は毒抜きしきれずか。働く意味を問いたくなる。慶應大広告学研究会の事件もデジャブだった。

 一方、当事者に目を向ければ子どもが傷つけられ、突然亡くなってしまった。想像を絶するつらさだ。

 些末な私事だが、俺は小さいころから度々死にそうな目に遭ってきた。小学校一年4月に喧嘩をして母と謝罪行脚をしてすぐに頬に歯が貫通する事故を起こし6針ほど縫った。以来、恒例行事のように毎年けがして都合40針くらいは縫った。

 自業自得だが親は心配していたのか不明だ。俺が車にはね飛ばされたときに父は「こいつも不注意だ」と運転者を笑って帰した。そんな俺の子どもも山で100メートル滑落して無事生還。生き残れば人間万事塞翁が馬なのか。まだよくわからない。