編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

銀行という組織

 地方銀行に勤めている高校の同級生の話を聞く機会があった。マイナス金利が効いてきて経営環境が「とにかく厳しい」という。ファンド投資(?)で稼ぐよう圧力がかかっているようだが、そううまくいくものでもあるまい。地銀がそんな具合なら、地域経済はどうなっているのか。気になったが、地元に残っている人たちからは、なぜか景気の悪い話は出なかった。

ちょっと前になるが、連れ合いが夜ごと悲鳴をあげて眠れない、精神的に参ってしまった、と友人から相談されたことがあった。彼は大手銀行の絵に描いたようなエリート行員。仕事がたいへんなようだが、細かいことは言わないらしい。結局、友人は新興宗教の力を借り、彼は仕事をつづけた。

 その後、銀行という組織の裏面を知るにつけ、その過酷さを少しだけ想像できるようになった。どんな”地獄”にあっても、個人として大切にするものを貫くしかないと、本号に登場している國重惇史さんの著書を読んで思った。