歴史に向き合う
2017年9月22日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|小林 和子
アイヌ民族の遺骨問題は度々本誌で取り上げてきたが、今回大きな返還の動きがあったので特集を組んだ。実は沖縄でも研究目的のために琉球民族の遺骨が墓から持ち去られる事態が起きていたことを、平野次郎さんが6月23日号で報じていた。今週号の特集作成が佳境に入った頃、沖縄戦で集団自決の場となったチビチリガマが荒らされたというニュースが入ってきた。
大田昌秀元沖縄県知事の遺稿『沖縄鉄血勤皇隊』(高文研)を思い起こした。戦場に散った鉄血勤皇隊の遺骨を、戦後学校に戻った大田らが収集しようとしたところ、「不必要に米軍を刺激する」として学校が拒否したのだ。
当時、住民の自由な移動を米軍が禁じていたこともあるが、食糧の提供を米軍に止められることを学校側は恐れたのだという。だが、生徒は、そこで諦めたら、自分たちは「人間として腐ってい」るとして折れなかったという。今回の事態、歴史の風化として片づけていいのだろうか。チビチリガマは渡瀬夏彦さんが今週号で記事にしてくれた。