編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

エアーフェスタと戦時体験

「緊急発進は全国平均で1日3回。南西エリアがもっとも頻度が高いです。台風の中でも避けられません」「日本の空を守っているのですね。これからは飛行機の音がうるさいなんて思わないで」

 訳あって沖縄にいる。空自那覇基地で週末に開かれたエアーフェスタに行くと、ステージでこんな会話が。戦闘機の試乗コーナーで若い隊員に質問すると、実に素敵な笑顔で答えてくれた。

 その前日、基地の近隣で開かれた旧小禄村の戦時体験を聴く会で、元琉球新報社記者・平良亀之助さんの話を聞いていた。同村は「飛行場を中心に陣地が密集しているがゆえ」真っ先に空襲を受け、避難を余儀なくされたので、数字上の人的被害は少ない。だが避難先、「友軍」や民間人同士の「もう一つの戦争」で、筆舌に尽くせぬ苦難を舐めたという。

 今も戦時体験を掘り起こすのは執念に近い。二度と戦争を起こさぬためだろう。一方で、戦争をする軍隊をよしとする世論づくりがソフトに進められている。