編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

よりによって

 毎年2月7日の「北方領土の日」に「北方領土返還要求全国大会」が開催される。安倍晋三首相が過去登壇した時の写真を探す。記念行事はどうしても絵柄が同じになるが、それにしてもあまりにも変わり映えがしないな、と思っていたら、今年は集会で採択される大会アピールの文言が変わるというニュースが入ってきた。

〈「北方四島が不法に占拠されている」との表現を使わない方向で調整していることが分かった〉というのだ(共同通信2月4日配信)。交渉中の難しい事案だからなるほど……と納得しかけたが。

 だとしたら1月28日、安倍首相による施政方針演説のあの表現はなんだったのか。

「しきしまの 大和心のをゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」

〈これは、日露戦争のさなかに(明治天皇によって)詠まれ、戦意高揚のために使われた歌だ〉として志位和夫日本共産党委員長が厳しく批判をした。よりによって。冗談のようだけど本当の話だから困ってしまう。