「最終回」のない、イラク派兵反対キャンペーン
2004年2月13日9:00AM|カテゴリー:一筆不乱|北村 肇
ふきのとうが店先に並んでいた。春先は苦いものを食べたほうがいいという。理由はわからない。「暖かくなっても、しゃきっとしろ」ということかなと勝手に解釈している。
陸上自衛隊のイラク派兵部隊がサマワに入った。苦みが体中に走る。平然と蹂躙される憲法、絶望的に空疎な答弁を繰り返す小泉首相、彼を倒せない野党、暴挙を阻止できなかったメディア、そして、その一員たる自分。
この苦みを噛みしめたい。しゃきっとしよう。
今週号から、「イラク派兵反対メッセージ」をスタートした。編集部で議論して、最終回をいつにするか決めなかった。異例のことだが、とても何回と区切りをつける気にはならなかった。
今後、憲法特集、検証・イラク戦争など、まとまった企画も準備している。イラク派兵や有事法制については、可能な限り、徹底的なキャンペーンを続けるつもりだ。
本来、メディアがこぞって反対の狼煙を上げるべきだろう。だが遺憾ながら、そうはなっていない。大手新聞の中には、まるで政府広報のような論調もある。一部の新聞は、アフガン戦争やイラク戦争の際、米軍寄りの報道に終始、「敵」という表現さえ使っていた。「客観報道」もなにもあったものではない。
そもそも「客観報道」は、反権力の立場に立って初めて成り立つ。やじろべえを考えてほしい。圧倒的に力を持った側と、そうでない側とのバランスをとるとき、真ん中に立ったのでは、逆に不公平になる。メディアは権力から離れてこそ、真実の報道が可能になるのだ。
ただ、マスコミを批判しているだけでは建設的ではない。彼らにはできない報道をすることこそ、本誌の使命と思う。
立春を過ぎても、日本には寒風が吹きすさぶ。それでも、心ある市民とともに、平和の芽吹きを確信したい。(北村 肇)