記録を残す意義
2019年3月15日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|小林 和子
今週号の「父が目撃した秋風事件」は、昨秋の読者交流会で知り合った永井元さんの仲介によるものだ。永井さんは、歴史、医療、文化などの方面で造詣が深く、個人的にも貴重な歴史資料をお持ちだ。そのことをホームページに書かれたところ、連絡をされたのが岡山正規さんだった。
岡山さんの父親、故政男さんは復員後、戦争を憎み、平和を何よりも大切に考えられていたという。犠牲となった宣教師の故郷で毎年3月、追悼礼拝が行なわれていたことを政男さんがもし知ったなら、どう思われただろう。
「神言修道会」の報告によると、当時、豪州は日本軍が迫っていることを知り、宣教師らに豪州への退去を促したが、彼らは危険を承知で信者のために残る道を選んだという。
岡山さんは父親の軍隊の記録がないと話しておられる。実はこの8日に亡くなった私の父も徴兵をされたが、入隊を示す正式な記録を私はみたことがない。こうやって記録を残すことの意義を、個人的な感傷とともにしみじみと感ずる。