井上明久氏の不正疑惑
2019年4月5日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|小林 和子
井上明久東北大学元総長の論文不正疑惑について今週号アンテナで三宅勝久氏が報じている。1997~2000年にかけて井上氏が発表した論文3本について、日本金属学会欧文誌編集委員会は「科学的に不適切な過失」があるとして撤回したというのだ。
「ようやく」というのが率直な感想だ。2013年と15年、本誌で井上氏の疑惑を指摘する連載を掲載してきたからだ。大学トップにいた氏の不正を大学に告発をした勇気ある教員の方々を思い出す。
連載にもあったが、大学当局は彼らの賞与の査定を下げ、退職後の名誉教授の称号授与を保留にし、理由なく退職金の返納を要求するということまでやってのけた。
巨額のプロジェクトをぶち上げ、そこに公的資金がつぎ込まれる。そのカネでスタッフを雇い、一気に研究を進める。だからといって、必ずしもそれ相当の結果が出るわけではないだろう。井上氏が研究した金属ガラスが、まさにその例だったのではないか。
今後の展開を注視したい。