手はあるか
2020年3月13日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|小林 和子
『金曜日』はなぜ新型コロナウイルス騒動に対して傍観者的態度をとるのか、というお叱りのお手紙をいただいた。
読者がそのとき疑問に思っていることに誌面でずばり答えられないもどかしさは感じている。どうしても時差が生じるからだ。速報性で劣る分、中身を掘り下げて報道できる強みを、どう活かすか──。
先週、京都に出張したが、ガラガラで驚いた。3・11直後も訪れたが、客の少なさは比較にならない。昼、そば屋に入ったが、客は私たちだけ。採算にあうのか心配になった。
ファストフード店で深夜勤務をしている50代の方の感染を伝えるニュースが流れていた。日中は派遣の仕事、夜は0時までアルバイト。非正規労働者は掛け持ちをしなければ生活ができない。正規労働者は体調を崩しても休めない。市民は疲弊しきっている。今度の事態を乗りきる〈体力〉が日本社会に、はたして残っているのだろうか。
これで東京オリ・パラ開催? 政府は〈精神力〉で突破させるおつもりか。政権変えるしか手はないなあ。