「悪夢狩り」
2020年9月4日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|小林 和子
安倍晋三首相が、辞任を表明。今週号は当初予定していた記事を差し替えて関係記事で特集とした。その後共同通信によると、首相は在任中に敵基地攻撃能力保有の方向性を示す意向を固めたと与党幹部に伝えたとのこと。
は~?先の会見でも首相はやり残したこととして憲法改正、北方領土、拉致問題を挙げたが、福島原発事故や沖縄の新基地建設に言及していない。拉致問題はともかく、実現せずとも責められない「大いなる課題」に夢中で、目前の危機的課題は終始眼中になかった。
本誌は懲りもせず、ずっと批判を続けてきた。第一次政権のときは「イデオロギーでなんでもかんでも批判するのはどうか」と言われ、第二次政権当初も「考えすぎ」と言われたが、特定秘密保護法あたりから「安倍さん、ちょっと怖いね」に変わってきた。
今週号、雨宮編集委員の「悪夢狩り」の被害は、この政権の異様さを如実に表していて心底ぞっとした。トップが変わっても“アベ政治”が変わらなければ、社会の分断と荒廃は進むだけだ。