編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

終わらない

 菅義偉氏が次期首相に就任する。菅氏というと私は、望月衣塑子記者の質問に苛立つ姿と選挙の応援演説で見せる笑みとの落差、そして「ふるさと納税」を思い浮かべる。

 2006年に西川一誠福井県知事(当時)が提案した「故郷寄付金控除」に着想を得て、総務相だった菅氏が主導し、制度化した。返礼品の特典がつくので過熱気味だった。高価な返礼品を咎められた大阪・泉佐野市が国を訴えて勝訴するという事態まで起きた。

 負担なき寄付といわれる一方、寄付者の居住自治体と国庫(地方交付税交付団体の場合は税収減の多くが国の交付税で補填されるので)が実質的な負担をしているという事実が顧みられない点などを本誌では16年、問題にした。

 その取材で関係者から伺った話が本当だったと9月12日付『朝日新聞』で知った。ふるさと納税に異を唱えた官僚が左遷されたという話だ。当該の平嶋彰英さんがインタビューに応えていた。菅氏は「政策反対なら(官僚は)異動」と発言している。アベ政治は終わらない。