まだ手作業
2020年12月4日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|小林 和子
新型コロナ対策の最前線で闘っておられる東京大学先端科学技術研究センターの児玉龍彦先生の研究室に入るには、研究棟のエレベータから降りてまず靴を脱ぎ、スリッパに履き替える。さらに研究室前で別のスリッパに履き替える。靴の裏がウイルス感染のリスクになるとは聞いたが、なるほど……。
インタビューはホワイトボードを背にした先生が、時々図を描いて説明してくれた。1月の段階からは比べものにならないくらい新しい知見が得られていることがわかってきた。ただ、専門外の私たちには難しいので時々「ひらたい言葉で」とお願いをした。
その日は20人ほどの急なPCR検査が入ったとおっしゃっていた。インタビューのあと、昼ご飯を食べる余裕もなく、防護服を着て検査設備がある部屋に向かわれた。
印象に残っていたのは、日本の検査の様子を諸外国の研究者がテレビでみて、みな一様に驚くという話だ。「まだ手作業でやっているのか」と。政府の判断力が鈍ると現場は大変だ。