誰のためなのか
2021年3月5日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|小林 和子
会社近くのさくら通りに街路樹として植えられているオカメザクラが今、満開だ。ソメイヨシノよりも開花が一足早い。濃いピンクをした小さな花が、澄んだ青空に映える。立ち止まって眺めると、季節が巡っているのを実感する。コロナ禍の巣ごもりで、季節感が薄れてしまったようだ。
3月は卒業式のシーズンでもある。本来、卒業式は誰にとっても喜びの場であるはずだが、東京都教育委員会が2003年「10・23通達」を発してから、苦痛と葛藤をもたらすようになった。「日の丸」の掲揚、「君が代」の起立斉唱を強制するようになったからだ。
私も保護者として式に出席したことがあるが、強い管制が敷かれた現場の雰囲気に耐えがたいものを感じた。
昨年は当初、飛沫感染防止の観点から校歌斉唱は中止されたものの、「君が代」斉唱だけは強行された。今年は?現場に聞くと、声を出して歌うことはしないが、式次第には残るという。
誰のために誰が行なう卒業式か、よくわかるではないか。