編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

劇団扉座

 元本誌書評委員で劇作家の横内謙介さん。主宰する劇団扉座が40周年記念公演を行なうというので今週号、話を聞かせてもらった。あちこち引っ張りだこの方なのでギリギリの日程で実現(冷汗!)。

 本誌では狂言の先代茂山千之丞さん(故人)や劇作家の平田オリザさんとの対談も。その収録に立ち会い、言葉を扱うプロとしての鋭い感性や観察力を目の当たりにした。

 横内作品には笑って泣いて人間の弱さを見つめた先に、骨太のテーマがある。そこに私は社会批評を読み取る。

 劇団からは人気俳優の六角精児、山中崇史、高橋一生各氏らが輩出している。だが、昨年はコロナ禍で本格的な公演は中止。劇団併設の俳優養成所の募集は停止し事務所も移転。ご苦労があったようだ。

 演劇・音楽公演などの産業は昨年、その前年の市場規模の8割が失われたと試算されている(国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』840号)。まさに「失われた1年」。それをどう乗り越えるのか、今回の公演に注目している。