編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

筑紫哲也さんを振り返って

 筑紫哲也さんは1984年から87年まで、朝日新聞社の硬派週刊誌『朝日ジャーナル』の編集長を務めた。コラムのタイトルは「多事争論」で、後にTBSの「筑紫哲也NEWS23」でも、筑紫さんが時事問題を語るコーナーとして受け継がれた。

 多事争論とは、たくさんの人がさまざまな議論を戦わせることで、福沢諭吉の言葉だ。一つの事象に一つの答えなどないと、常々思ってきた。少しでも多くの人がさまざまな議論を戦わせることで、よりよい答えを導き出していくことが重要ではないかと、私自身は思う。ジャーナリズムの世界では特に肝に銘じなければならない言葉だ。

 今週号では、筑紫さんとともに「NEWS23」を作ってきた金平茂紀さんと望月衣塑子さんの対談を掲載した。筑紫さんの仕事を題材に、ジャーナリズムの過去・現在・未来について反骨の二人が語り合った。筑紫さんが亡くなってから13年が過ぎたが、あの頃と今とで、ジャーナリズムの役割が決して変わったわけではない。