漁夫の利
2022年4月1日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|文聖姫
ウクライナ情勢に世界の耳目が集まる中、その間隙を縫うかのように、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射実験を断行した。ICBMの発射実験は2017年11月29日以来、約5年ぶり。金正恩朝鮮労働党総書記が実験に立ち合った。核実験やミサイル実験のモラトリアムをうたった宣言を自ら破棄したことになる。
朝鮮労働党機関紙『労働新聞』3月25日付によると、正恩氏は「いかなる軍事的威嚇にも揺るがない強力な軍事技術力を備え米帝国主義との長期的対決に徹底的に備えていく」と語った。実験が米国に向けた牽制であることは明白だが、「長期的対決」をにおわせていることが気になる。北朝鮮は昨年1月の朝鮮労働党第8回大会で核戦力の強化をうたっていた。米国との対話が実現せず、膠着状態が続く中、北朝鮮は着々と軍事力を強化していくだろう。
4月15日は故金日成主席の生誕110周年。軍事パレードで新型ICBMをお披露目するかもしれない。(文聖姫)