編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

母への宿題

 日韓学生フォーラムが開催される沖縄を訪れたことは、先週号の本欄で書いた。実は今回沖縄に行きたいと思ったのには、もう一つ理由があった。「平和の礎」をこの目で確かめたかったからだ。平和の礎には、沖縄戦などで犠牲となった約24万人の名前が、国籍や軍人・民間人を問わず刻まれている。沖縄戦終結50周年の1995年6月23日に除幕された。朝鮮半島出身者の名前を記したコーナーは、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と韓国に分かれている。実はこの北朝鮮の名簿を整理したのが、私の母である。

 母の金玲希は朝鮮総聯傘下の朝鮮人強制連行真相調査団に在籍していたことがある。その際、沖縄戦犠牲者の北朝鮮出身者名簿の整理に携わったと、本人から聞いた。立派な仕事をしたのだと誇りに思った。本人も沖縄に行った際、「今平和の礎」というメッセージとともに、携帯で写真を送ってきた。2007年に母が逝き、平和の礎を訪ねることが宿題のようになっていた。それをやっと果たすことができた。(文聖姫)