「貧困なる精神」の持ち主に一国の宰相は無理だ
2008年10月3日9:00AM|カテゴリー:一筆不乱|北村 肇
麻生太郎氏の目標は「総理になること」でしかなかったのだろう。日本に暮らす一人として、そんな人間に国を託したくない。首相の器なら、「日本をこのように変えていきたい」という具体的な目標、そして目標を達成するための戦略を持ち、熱い言葉で市民に語りかけるはずだ。麻生氏にはそれが欠けている。
今年は明治維新(1868年)から140年。維新の重要人物の一人である大久保利通は、麻生氏の母方の高祖父にあたる。その子どもが昭和天皇の側近、牧野伸顕、戦後の混乱期に日本を引っ張った吉田茂は言うまでもなく麻生氏の祖父。麻生氏は、まぎれもない“セレブ”なのである。
しかし、歴史的評価はさておくとして、大久保や吉田には、相当、脳髄を絞ったのだろうと感じさせる”何か”があるが、麻生氏にはまったく感じられない。小派閥であることから、首相に就くため、それなりの知恵を用いた。だが、そこにとどまる。「自分も革命を目指す」と意気込んでいるようだが、およそ”何か”を感じさせる人物ではない。
麻生氏の”うり”の一つは、ユーモアだ。マンガやオヤジギャグは私も嫌いではない。政治家にはお茶目な面も必要だ。だが、麻生氏の「笑わせる芸」は、安っぽいタレントのそれと一緒。弱い者をいじめたり、差別をネタにする“黒い笑い”だ。数々の妄言にもよく表れている。
▽初出馬のとき(1979年)、街頭演説で「下々のみなさん」と呼びかけ、有権者の怒りをかった▽「アルツハイマーの人でもわかる」を筆頭に、たとえが差別的なことが多い▽野中広務氏が、麻生氏の発言(野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ)を暴露。
付言するまでもないが、真の“セレブ”は決して弱者を踏みつけることはしない。
麻生氏が首相になれたのは、「人気があるから」と永田町では言われる。世論調査を見る限り、とても人気宰相とはみえない。そもそも、実力のないお笑いタレントはどんな道をたどるか。自民党の人々は、よくよく電通にでも調べてもらったほうがいい。
最後は、オヤジギャグでまとめてみよう。「麻生氏は、人気も任期もあっというまに終わりをつげる」。総選挙で自民党が勝利する目はない。(北村肇)