袴田巌さんの死刑執行停止を 超党派議員連盟、千葉法相に申し入れ
2010年5月20日4:19PM
刑事訴訟法四七九条「死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によつて執行を停止する」を適用し、袴田巌さん(七四歳)の死刑執行をただちに停止すべき――冤罪の死刑囚、袴田さんを救援する超党派の議員連盟が四月二二日発足した。計六〇人の衆参国会議員の代表五人が七日、死刑の執行停止を千葉景子法相に申し入れた。
議連会長の牧野聖修衆院議員(民主党、静岡一区)によると、申し入れを受けた千葉法相は「前から関心を持っており、関係者の考えもよく理解できるので、前向きに検討したい」と述べたという。
袴田さんは、旧清水市(現静岡市清水区)で一九六六年に起きた、みそ製造会社の専務一家四人が殺害された事件で逮捕され、最高裁で死刑が確定した。三〇歳で逮捕されてから四三年以上の拘束で、拘禁性の精神障害を患っている。
支援者らによると、炎天下のなか平均一二時間、最長一七時間に及ぶ苛酷な取り調べで「自白」させられたことが明らかになっており、冤罪の証拠も数多い。
議員連盟の設立総会で、袴田さんの姉、秀子さん(七七歳)は「巌との会話はとんちんかんのまま。もう残されている時間はあまり多くないと思います。せめて死刑執行への不安な毎日を過ごすことからだけでも変えていただけたら、と思います」と話している。
(伊田浩之・編集部)