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村木厚子元厚労省局長無罪確実に 「取り調べに問題」と調書採用却下
2010年6月7日11:30PM
郵便不正事件に絡む虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長の村木厚子氏の証拠採否決定の公判で五月二六日、大阪地裁の横田信之裁判長は、村木氏の元部下、上村勉元係長(同容疑で起訴)の「村木課長(当時)の指示で偽証明書を作った」との内容の供述調書を「取り調べに問題があった」とすべて却下した。さらに「村木課長から格安便認可の証明書を手渡された」という自称障がい者団体「凛の会」の倉沢邦夫元会長の供述調書も却下した。「共犯」二人の供述調書が却下されれば大阪地検に勝ち目はない。
上村氏は法廷で「言ってないことが調書に書かれた。検事は最初から筋書きを作っていた。偽の証明書作りは私が独断でやったが、上司に言われてやったといった方がわかってもらえると思った」と涙声で検事の嘘を暴露していた。
他の関係者も「調書は検事の創作」と法廷で訴えてきた。横田裁判長は上村氏の調書を取った国井弘樹検事について「覚えていないのなら多数決だ、とするなど誘導の可能性がある」と指弾した。
横田裁判長は「取り調べに問題はない」と村木氏の上司だった塩田幸雄元部長の調書などの一部を採用したが、主任弁護人の弘中惇一郎弁護士は「上村氏の調書が否定されれば無罪は動かない」と安堵の表情で話し、「(供述調書が)全部却下されれば検察が反発し、控訴されてややこしい。きちっと採用した上で無罪判決を下してくれた方がいい」と評価した。
大阪地検は「公判中なのでコメントは控えたい」(玉井英章次席検事)とコメントするだけ。
多数の検事が証人尋問され、取り調べの正当性を訴える異例の公判だった。
公判は六月に結審し、九月一〇日に判決予定だ。
(粟野仁雄・ジャーナリスト)