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残業代支払い命じながら 「みなし労働」容認 東京地裁が矛盾した判決
2010年7月9日1:09PM
海外ツアーの旅行添乗員が「事業場外みなし労働」の是非をめぐり残業代の支払いを求めていた労働審判異議訴訟の判決が二日、東京地裁(田中一隆裁判官)であり、田中裁判官は被告の阪急トラベルサポートに対して残業代不払い分と休日労働割り増し賃金不払い分の支払いを命じた。
しかし「みなし労働」については、「労働時間を算定しがたい」として被告主張を事実上容認。五月一一日に同じ東京地裁で出された「みなし労働は適用できない」とする判決(国内ツアーの残業代支払い請求訴訟)と矛盾する内容となった。
訴えていたのは、全国一般東京東部労働組合に加盟する阪急トラベルサポート支部(塩田卓嗣委員長)の組合員で、海外ツアーを主とする添乗員の大島由紀さん。労働審判では二〇〇八年七月一八日、「会社が主張する事業場外みなし労働は適用できないため残業代を支払うべき」とする審判が出ており、それを不服とした阪急トラベルサポートが異議を申し立て本訴に移行していた。
東京東部労組の菅野存委員長は「海外ツアーにおいても使用者からの指揮命令と時間管理は徹底しており、実態として労働時間を把握できる。裁判官自身が労働時間を算定し、不払い残業代の支払いを命じておきながら、みなし労働の適用を認めるのはおかしい」として、控訴する方針だ。一方、阪急トラベルサポート本社・総務課では「添乗業務について一一時間のみなし労働時間制の適用を認められた点は妥当であると考える。判決文を精査し、今後の方針を検討する」とコメントしている。
(片岡伸行・本誌編集部)
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