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鈴木邦男、梁石日、佐高信らが“乱闘寸前”トークバトル!

2010年8月7日6:42PM

 のちに”慰安婦”となる朝鮮人女性の波乱に満ちた生涯を描いた梁石日さんの小説『めぐりくる春』の刊行を記念したトークイベント「フィクションで表現する『慰安婦』の真実」が6日、東京都・阿佐ヶ谷の「阿佐ヶ谷ロフト」で行なわれた。

 出演は作者の梁さんをはじめ、『戦場の「慰安婦」』などの著者がある西野瑠美子さん(VAWW-NETジャパン共同代表)、鈴木邦男さん(「一水会」顧問)、朴慶南さん(作家)。司会は佐高信・『週刊金曜日』編集委員(評論家)がつとめた。

 メディアでは「タブー」の存在であり続ける”慰安婦”。その”慰安婦”をベストセラー作家・梁石日さんが正面から題材にした小説とあって関心も高く、約50人がつめかけた。

 まず鈴木さんが「衝撃を受けました。梁さんは男性なのに、よく主人公・淳花をはじめ”慰安婦”たちの心理が描けるな、と。”慰安婦”についての証言集はほかにも出ているけれども、この小説の方がリアリティがある。梁さんの文章のうまさで一気に読ませる。すばらしい小説です」と絶賛。

 しかし、西野さん、朴さんが小説の大半を占める過激な性描写について「抵抗感は否定できない」と発言したことで、鈴木さん、会場も含め、議論は白熱。「そこを作者の梁さんは『あえて』踏み込んだはず。その勇気を評価すべきで、否定的に言うのはおかしいのでは」(鈴木さん)など、反発する意見も出た。

 西野さん、朴さんは「そこは誤解。会場の方にも私たちの言う『抵抗感』のニュアンスがうまく伝わっていない」として、「主人公たちが『もし私だったら』という気持ちでずっと読んだ。他人事と思っては読めなかった、ということです。感情移入してつらかった。その意味での抵抗感」(朴さん)、「梁さんだから書けた小説。表現されたことに対する抵抗感ではない。慰安婦に何がなされたのか。梁さんの小説にその生々しさを感じたからこその怒り、つまり抵抗感です」(西野)と反論。”慰安婦”問題をどう考えるかの難しさを浮き彫りにする、白熱の議論となった。

 作者の梁さんは、「私は男ですから、男性の目線で書かれた小説であることは事実。どなたか女性がこの小説を書ければよかったのですが(笑)。西野さん、朴さんの指摘は謙虚にうけとめたい。ただ、現場で日本軍兵士と『性具』にされた”慰安婦”の間で何が起きていたのか。その描写は徹底して『具体的』に書かないとだめなんです。読者には『抵抗感』はあるでしょう。でも、小説は、そこまでやるべきなんです」と話した。

 なお、このイベントは「ニコニコ生放送」でネット中継され、約9000人が視聴し、5万件を超える書き込みが寄せられた。しかし、大半は「証拠を出せ!」「おまえらこそ恥だ!」など、”慰安婦”の存在自体を否定するもの。司会の佐高『週刊金曜日』編集委員は、「この人たちには『見たくないものを見る強靱さ』がないのではないか」と切り捨てた。

(『週刊金曜日』編集部)

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