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NHK番組改変から10年――女性国際戦犯法廷報道を考えるシンポ

2010年11月17日1:24PM

 市民が国際的な協力を得て「慰安婦」問題を裁いた女性国際戦犯法廷開催から今年で一〇年。これを取り上げたNHK「ETV二〇〇一」が政治介入によって大幅に改変された事件で、NHKを提訴した法廷の主催団体VAWW-NETジャパンが裁判記録集・評価集出版記念を兼ね、一〇月三〇日、都内でシンポジウムを開催した。

 番組改変の矢面に立たされ、凄まじい修羅場を経験した当時の番組デスク・長井暁氏が記念講演。事件後、自身で取材したり心ある関係者から寄せられた情報・資料も交えて当時の体験を詳細に語った。NHK側当事者の一人、伊東律子番組制作局長(当時・故人)の会長宛の報告書なども目にしたという。

 長井氏は、幹部の業務命令で改変を余儀なくされたことについて「悩んだ。今でも後悔している。制作に関わったスタッフへの処分など考えると拒絶・放送中止の選択はとれなかった。放送総局長が業務命令を行使したとき現場はどう闘えるのか」と率直に心情を吐露。「幹部がかざす『編集権』に対して、現場制作者の『内部的自由』はどうあるべきか」と、今後議論を深めるよう問題を提起した。

 その後のパネルディスカッションでは裁判原告・弁護団、メディア研究者、支援団体代表が発言。

「沖縄密約事件でも当事者証言が出てきた。NHK幹部にも真実を墓場まで持ってゆかず明らかにするよう迫るジャーナリスト出よ」

「事件の検証番組を作って視聴者にお詫びする日がNHK再生の日。NHK自身が検証番組をつくることを期待する」

「現場を無視し幹部が改変することが『表現の自由』なのか。現場の表現の自由をどこまで保障するか、取材にかかわった市民がどこまで主張できるのか、現場や市民運動の側が今後も要求や発言を」

「事件後一〇年間、NHKは『慰安婦』問題を番組で取り上げていない。作れと要求すべきではないか」「番組『問われる戦時性暴力』は今、NHK職員も見ることができない。アーカイブスに入れて市民にも見られるように要求すべき」

「番組を見る会など市民と制作現場ディレクターの対話の場を」

「NHKの会長や経営委員を公募して市民の代表を送りこめるよう求めたり、NHK予算の国会審議の仕組みを変えることも再発防止に重要」

 など、今後の課題や展望が語られた。

(小滝一志・放送を語る会事務局長)

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