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武富士の過払いを全額肩代わり? 「富士クレジット」の奇妙な行動

2010年12月10日3:24PM

 東京地裁に会社更生法申請中の「武富士」(吉田純一社長・小畑英一管財人)が「過払い」になっている債権を大阪市の消費者金融「富士クレジット」(大岩秀幸社長=日本貸金業協会理事)に売却していた問題で、あらたに不審な事実が発覚した。
 富士クレ社を相手どって武富士の顧客が起こした過払い金返還請求訴訟で、武富士の時に発生した過払い金を全て富士クレ側が肩代わりする旨の答弁をしていたのだ。
 武富士の過払い金を払っても、富士クレ社には一文の得にもならない。そのことを知りながら過払い債権を購入したとすれば、富士クレ社の経営者は特別背任罪に問われる可能性もある。また、債権を売却した側の武富士も借金を売りつけた道義的責任は免れない。
 問題の裁判は、武富士と取り引きのあった男性が今年一〇月、債権売り渡し先の富士クレ社に対して約一一万三八〇〇円の過払い金返還を求めて東京簡裁に提訴したもの。男性は富士クレ社とは取り引きがなかったが、「五月二五日付で武富士から富士クレに債権が売却された」との通知を受けたため、同社相手に訴訟を起こした。
 過払い金は武富士時代のものだったため「武富士に請求せよ」との反応を男性側は予想していた。ところが一六日の弁論で、次のような和解案(趣旨)を出してきた。
〈過払い金は全額富士クレ社の不当利得として認める。その上で弁済額を六割の七万円に減額する。武富士には今後請求しない〉
 行田豊裁判官も「過払い金を認めているんですね……」と首をかしげるほどの不可解さだった。男性側は和解を拒否し、一二月一〇日に判決が言い渡される。富士クレ社がなぜ武富士の借金を買ったのか、武富士がなぜ売ったのか。謎は深まる一方だ。
 一方、富士クレ社が武富士の顧客に対して次々と貸金請求訴訟を起こし「貸しはがし」を行なっていることもわかった。遠方の当事者欠席のまま、続々と判決が出されている。サービサー法(債権管理回収業に関する特措法)違反の疑いが考慮されることもないまま、東京簡裁はさながら借金取り立ての証文にお墨付きを与える自動販売機の様相を呈している。
三宅勝久・ジャーナリスト

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