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なりふりかまわぬ防衛局――高江ヘリパッド建設作業強行
2011年2月24日1:22PM
二月三日の旧正月。旧暦の風習の残る沖縄では大切な日だ。こともあろうにその日の朝、「沖縄防衛局の車一五台が高江に向かっている」との情報が入ってきた。
駆けつけた住民や支援者らの厳しい抗議で、防衛局は米軍ヘリパッド建設に向けたこの日の作業を断念せざるを得なかったが、翌日は倍数の職員に、ダンプ二台を動員し、住民との対峙が終日続いた。
三月から六月までは国の天然記念物・ノグチゲラの繁殖期に当たるため工事ができない。そのため何が何でも二月中に工事を進めようと、防衛局はなりふりかまわぬ強硬姿勢だ。
一月二六日には、高江住民の抗議と監視の座り込みを国が「通行妨害」で訴えたスラップ訴訟(大企業や国、自治体など経済的に力のある団体が対抗勢力に対する嫌がらせを主な目的として起こす訴訟)の公判が那覇地裁で行なわれた。その最中、沖縄防衛局は高江の現場に約三〇人の作業員や職員、作業トラックを動員して工事(砂利の搬入)を強行した。年末年始や早朝を狙って作業を強行してくる防衛局に対し、現場では二四時間の監視体制を強いられているが、この日は公判への出席や傍聴のため、住民や支援者の多くが車で三時間以上を要する那覇へと出かけ、現場は手薄になっていた。
裁判の途中で知らせを受けた住民側弁護士は、法廷で工事強行を裁判長に報告し、原告側に座っている防衛局職員に強く抗議。傍聴席からも、「空き巣狙い」のようなやり方に怒りの声が上がった。
裁判所から「対話」を勧告されているにもかかわらず、国は裁判を故意に長引かせて住民を苦しめつつ、現場においては国家権力を使って力で押しつぶそうとする考えのようだが、酒井良介裁判長は、裁判の迅速な進行のために集中審理を提案。裁判長の提案通り、国が「妨害行為」としているものの一つひとつについて審理すれば、国の訴えに正当性がないことが明白になるだろう。
一月一四日に発足した菅直人再改造内閣を『琉球新報』は「『沖縄切り』の表れ」と表現したが、エスカレートする住民への攻撃は、沖縄への「宣戦布告」としか言いようがない。
(浦島悦子・ライター、2月11日号)