秋葉原事件、3月24日判決――加藤被告の最終意見陳述
2011年3月1日2:54PM
「事件を後悔し、少しずつでも他者の気持ちを思いやろうとしている。更生の可能性がある」――弁護人は最終弁論でこう語り、死刑回避を訴えた。
二月九日、東京・秋葉原の無差別殺傷事件で殺人罪などに問われて死刑を求刑された加藤智大被告(二八歳)の公判(村山浩昭裁判長)が東京地裁で開かれた。
二〇〇八年六月八日、秋葉原の歩行者天国にトラックで突っ込んで歩行者をはねた上、ナイフで通行人を刺し、七人が死亡、一〇人が負傷した事件は、社会に大きな衝撃を与えた。二九回にわたる審理では、犠牲者の遺族や、負傷者らが検察側証人として出廷し、意見陳述をした。また、検察側の精神鑑定医は「精神疾患の兆候はなく、責任能力がある」と証言した。これに対し、弁護側が申請した精神再鑑定や、責任能力を問う鑑定人の証人要請は退けられている。
公判を通して被告は事件の動機について、「居場所」と感じていたインターネットの掲示板に現れた「なりすまし」や「荒らし」に対して、これをやめるように訴えることが目的だったと語った。
残虐な無差別殺傷事件と、動機との乖離について弁護側は、被告に事件前後の記憶がないことなどから、当時、ネットの掲示板をめぐるストレスから心神耗弱、または心神喪失状態の疑いがあると主張。また、残虐な絞首刑による死刑よりも、生かして責任の重大さを認識させることの方が刑罰としてふさわしいなどと述べた。
この日、加藤被告は最終意見陳述を求められ、「今現在、事件を起こすべきでなかったと後悔し、反省しております。ご遺族の方、被害者の方には申し訳ないと思っています」と謝罪の言葉を述べた。
公判はこの日で結審。判決は三月二四日に言い渡される予定。
なお、本誌では、この事件の重要性に鑑み、特集記事を組む予定。
(山村清二・編集部、2月18日号)