【韓国】「原発推進」崩さぬ政府、世論調査で不安高まる
2011年4月20日3:05PM
四カ所で計二〇基の原子力発電所が稼働している韓国では、日本の福島第一原発の事故を連日大きく報道。原発の安全性に対する疑念が広まっている。だが、韓国政府は海外への技術輸出を含め、原発を積極的に推進。日本での事故を受けて安全対策の見直しを行なうことは表明したものの、推進路線を見直す姿勢はいっさい示していない。
韓国は一九七八年に南部・釜山市郊外の「古里原子力発電所」が、同国の第一号基として運転を開始。現在は四カ所で計二〇基が稼働する。同国政府は、二〇三〇年までに原子力発電所を新たに一〇基建設する計画で、総発電量に対する原子力発電の割合を三四・一%(二〇〇九年)から五九%まで高めることを目標としている。また、原発技術の海外輸出にも積極的で、政府の「原発輸出産業化戦略」は、一二年までに九九六億ウォン(約七三億円)の予算を計上、李明博大統領自らが旗振り役となり、中東諸国などへの売り込みを行なう。
今回の事故について、韓国大統領府報道官は「他山の石としたい」とコメントし、安全対策を強化する考えを示した。だが、運営会社の韓国水力原子力は「安全レベルは世界最高水準」と自信を示す。韓国政府が三月二八日に開いた原子力委員会(委員長・金滉植首相)では、安定的な電力供給には原子力発電が不可欠として、現行の原発推進政策を維持する方針を確認した。
だが、一般の人々の反応は異なる。同日付の韓国紙『東亜日報』が掲載した世論調査の結果では、韓国内の原発について四三・二%が「安全ではない」と回答し、一年前に比べて不安を持つ人が倍増する結果となった。環境保護団体は「韓国の原発も福島と同じく運転開始から三〇年以上経っている。安全だとの保証はどこにもない」と話し、廃炉や新規建設の中止を訴えている。
(北方農夫人・在韓ジャーナリスト、4月1日号)