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「一〇〇%自然エネルギーは可能」――ドイツ・グリーンピース エネルギー部門リーダーが来日

2011年6月5日11:05PM

 ドイツでは、日本の福島第一原発事故以後、電力源を原子力から自然エネルギーに切り替える動きが急速に進んでいる。国際環境NGOグリーンピースがこのほど、衆院第二議員会館で勉強会を開催。同団体・ドイツの気候変動・エネルギー部門リーダー、トーマス・ブリュアー氏が「自然エネルギーは安全性だけでなく、経済性や雇用創出でも原発より優れている」と強調した。日本については「技術レベルが高く、輸出立国だ。しかし、原発エネルギーは危険で輸出に適さない」と指摘。「将来性と革新性に満ちた自然エネルギー無しでやっていくことは、もはや得策ではない」と訴えた。

 ドイツは元々、原子力発電を二〇二三年までに段階的に廃止する法律を制定していた。しかし、原発擁護派の巻き返しで今年一月、この法律を改正し、廃止時期を三七年まで一四年間、引き延ばすことが決まった。ところが、福島第一原発事故で、再び脱原発機運が高まり、メルケル首相は改正新法を三カ月凍結。同国にある一七基の原子炉のうち、一九八〇年以前に建てられた古いものから八基の稼働を中止することを決めた。

 ブリュアー氏は改正新法の凍結が三カ月という期限付きであることから、正式な政策決定は六月だと説明した。ただ、福島の事故以後、ほとんどの政党が反原発の立場を表明原発推進派の自由党は議席を失い、党首が辞任に追い込まれた。一般家庭でも、電力源を風力や水力などの自然エネルギーに転換する動きが進んでいる。議会の諮問委員会は、昨年、「電力供給は二〇五〇年までに一〇〇%、自然エネルギーに切り替えが可能」という報告書を公表。数万人規模のデモがいくつも行なわれ、反原発の勢いは当面止みそうにない。

 ブリュアー氏によると、自然エネルギーへの転換でドイツは〇四年から一〇年の間に、新たに二〇万人の雇用を創出、それが理由で「世界的な不況の影響を受けずに済んだ」と述べ、自然エネルギーの経済的メリットを強調した。

 また、コスト面でも原発は自然エネルギーに劣るとし、「原発が成立するのは政府の後押しがあるから。エネルギー市場を開放し、競争原理が働くと、原発は存立しえない」と説明した。

(井高恭彦・ジャーナリスト、4月22日号)

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