「なくせ婚外子差別つくれ住民票」――東京地裁で第一回口頭弁論
2011年7月4日6:59PM
事実婚の両親が出生届の「嫡出でない子」という差別記載を拒否し出生届不受理となっている子どもの住民票を作成しないのは違憲違法であるとして、世田谷区に住む菅原和之さん夫妻と二女が同区と国に対し住民票作成と戸籍法の改正、慰謝料などを求める訴訟の第一回口頭弁論が六月二日、東京地裁(川神裕裁判長)であった。
原告は以前、世田谷区に対して住民票作成を求める訴訟を起こし、最高裁第二小法廷が二〇〇九年四月、住民票を作成しなくても違法とは言えないとして上告を退けている。今回、改めて区に加え国も相手取り提訴し、国連人権B規約違反と勧告された戸籍法四九条二項一号(届出に嫡出か否かの記載を求める条文)の改正をも求めた(三月一一日号特集参照)。
国は答弁書で、民法九〇〇条四項但書の婚外子相続差別規定について「最高裁で合憲性が確認されている」と主張。また、「立法政策は国会の裁量に任される事柄」とし、区も共に争う姿勢。ただ、国も区も日本国民及び世田谷区民であることの地位については争わず認めた。そのため原告代理人の藤岡毅弁護士は「地位を認めた以上、それでもなお住民票をつくらないことへの立証責任は区の側にある」と強気で臨む。
また、裁判で区の代理人が「出生届を出していただき戸籍と住民票がともにつくられるのが望ましい」と述べると、藤岡弁護士は「保坂展人区長は国会議員時代、婚外子差別をなくすべきだと国会で何度も述べておられるが、その区長自身のお考えなのか」と質問。区側は「現在の区長の考えです」と答えた。これについて同弁護士は裁判後、「区長、今までの発言は何だったの? と市民が問いかけてほしい」などと話した。
(宮本有紀・編集部、6月10日号)