被災女性のホットライン DV・失業など243件
2011年7月20日3:03PM
大震災で被災した一人親世帯を支援し、困難を抱えた女性たちのホットラインを実施しているNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむが六月二五日、中間報告を行なった。四月一九日から六月二一日までの相談件数は二四三件。
相談内容は「夫が震災で死亡。夫の実家に身を寄せていたが義母から『お前のせいで死んだ』と責められ、身体的暴力を受ける。『孫はこちらと養子縁組をし、離縁する』と言われた。弁護士と相談したい」(岩手県)、「母乳に放射能が含まれていると聞き心配。自分の母乳を調べてもらうことは可能か」(福島県)、「被災し会社は休業状態。このまま仕事がなくなれば学費に困る」(母子家庭、宮城県)、「夫が震災からあばれだした。突然怒鳴る。テーブルをひっくり返す」(秋田県)、「子どもが小さいので福島をでるかどうか悩んでいる。彼女も死んだ。寂しくて生きる気力もでない」(父子家庭、福島県)などさまざま。精神を病んだという相談も多い。
しんぐるまざあず・ふぉーらむ福島からは「DV被害者は、加害者の夫も同じ所に避難していて安心できない。しきりがなくて若い女性のそばに寝てにやにやしている男性もいる。また乳幼児のいる世帯は邪魔者扱いされて母親が疲れている。そのため女性専用スペースが必要だと設置を求めて郡山市のビッグパレット・ふくしま内にある合同災害対策本部に要望書を四月に提出したが、回答がこないので相談コーナーをつくった。その後、五月一日にやっと男女共生センターの委託という形で設置された」など、被災者が支援活動をしている実態も報告された。
いわき市から三人の子どもをつれて都内に避難している三四歳の母親は「避難した後のケアがない。働きたくても保育所にも入れず、仕事も探せない。なぜそういうことを行政は考えてくれないのか。いずれ福島に帰ると思っているのか」と不安と怒りを表明した。
同団体は、避難所における女性用の下着や生理用品などの配り方の工夫、学費の援助、仕事の創出、県外避難者に対する育児支援と就業支援などのワンストップ窓口等の必要性を指摘。今後行政などへの要請も考えている。
(宮本有紀・編集部、7月1日号)