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立ち上がる”夜の世界”の労働者 悪質経営者らを提訴
2011年8月2日2:05PM
関西の”夜の世界”で、悪質経営者への反撃が活発になっている。
「地域労組おおさか」など個人加盟労組の支援で、権利擁護に立ちあがったのは、北出茂さん(三七歳、大阪府枚方市)。勤務企業のコンプライアンス(法令遵守)違反などを指摘したことで自宅待機になり、低額の休業手当のみ支給という”報復”と闘っている。北出さんは風俗店など約一〇〇店を経営するグループ企業の持ち株会社、レジャックスホールディングス(現INSOU、大阪市西区、守安但社長)の法務部に勤務していた今年三月、トラブル急増中の「ペニーオークション」の違法性や名ばかり管理職への残業代不払いの問題点などを指摘したところ、「能力不足」の汚名を着せられて退職を強要された。これを拒否すると自宅待機に追い込まれた。
労働基準法二六条は自宅待機について平均賃金の六割以上の休業手当支給を義務づけているが、カラクリがあって実質的な手取りは約三割。月七万円未満では生活できず、休業手当一〇〇%支給と慰謝料の支払いなどを求めて七月五日、大阪地裁に提訴した。
訴状によると、同グループは風俗業従業者七〇〇〇人、年商三〇〇億円規模の大手。北出さんは「スーパーブラック企業の闇にメスを入れ、働く者全体の利益を守りたい」と強調する。
一方、”営業譲渡”を理由に今春バンドメンバーらを賃金未払いのまま全員解雇し、彼らの抗議に対し、地位・債務不存在などの確認訴訟を五月三〇日付で提起したのが、ライブハウス「ケントス大阪」。メンバーらによると、ライブハウスの運営会社は商号を変更し、営業権をイーグルエンターテインメント(阪本明子社長)に譲渡したことになっているが、旧経営者も毎日のように来店し実質的な指揮を執っている。このことから、両者は一体関係にあると思われ、偽装譲渡の疑いがある。
メンバーら計八人は今年四月、「音楽家も労働者」と認定した最高裁判決に励まされて団交を要求し、抗議に立ちあがっている。
(たどころあきはる・ジャーナリスト、7月15日号)