国頭村安波区民総会で普天間受け入れ賛成――撤回を求める国頭村長と議会
2011年8月3日6:48PM
沖縄県国頭村安波区は六月一〇日、区民総会で振興策と引き換えに米軍普天間飛行場代替施設を受け入れる計画の賛否を問い、委任状三七を含む一二五票中、賛成七五票、反対五〇票で、計画の推進を賛成多数で可決した。これを受けて、渋井登志代区長と元村議の平識善光区老人会長が一三日、村役場に宮城馨・国頭村長を訪ね、結果を報告した。面会後、宮城村長は「普天間飛行場の受け入れが前提となっており、協力できない」と述べた。
また、国頭村議会(大城武議長、定員一〇人)は一四日の六月定例会最終本会議で、普天間飛行場代替施設受け入れに向けた政府との交渉推進を凍結するよう求める声明を発表。安波区民総会の決定について「十分な説明もなく、外部の政治家が介入して地主と区民だけで短時間の議論で採決したことは、村民や県民に動揺と不快感、疑念を与え、誠に遺憾で残念」とした。
一方で前原誠司前外相は一一日に沖縄を訪れ、宜野湾市内で仲井眞弘多知事と非公式に会談した。地元紙『沖縄タイムス』によれば、前原氏は今回、民主党沖縄振興プロジェクトチーム(PT)の顧問として沖縄振興などをめぐって仲井眞知事と意見交換した。会談で仲井眞知事は、「東アジアと国際的な競争力のある経済振興を中心とした制度の実現や沖縄振興予算の一括交付金化、県の計画を国が支援することを新法に位置付けることや駐留軍用地跡地利用促進法(仮称)の制定、沖縄総合事務局の権限を県へ包括的に移譲――の五項目をあらためて要望した」という。
そうした中で安波区住民も翻弄されている。施設受け入れに反対する同区民有志が一五日、計画を推進する国民新党の下地幹郎衆院議員の事務所を訪れ、推進案の撤回を求める抗議書を手渡した。有志らは県庁内で会見し「安波区民のためにならない。絶対に反対だ」と強く訴えた。
二〇日には、国頭村長らが下地氏の事務所を訪れ、安波区へ普天間基地の代替施設を誘致する案を撤回するよう申し入れた。テレビ電話で村長らと面談した下地氏は、「安波区民が移設に反対しないのであれば、撤回は認められない」と述べたという。
(平良暁志・ジャーナリスト、6月24日号)